客観的な分析を

志望する業界・職種が固まってきたら、次は一つひとつの企業を詳しく研究していきましょう。ありがちなのが、テレビなどで見かける業界や企業のイメージのままで、企業を理解したつもりになってしまうこと。社名やイメージだけにとらわれずに、客観的に分析しましょう。同じ業界でも、取り扱っている商品・サービスが異なっていたり、働く環境が違う場合もあります。また、あまり知られていない企業や、規模が小さい企業でも、業界で高いシェアを獲得していたり、経営が安定している企業はたくさんあります。

やりたいことを明確にする

企業選びの基準は人によってさまざまです。例えば、「グローバルに活躍したい」という人と「生まれ育った地元で働きたい」という人では、重視するポイントはもちろん違ってきます。企業研究の最初のステップは、「自分のやりたいこと」を明確にすること。「大学を卒業して社会に出た時、どのように活躍したいか」、さらに「3年後、5年後、どのような人間になっていたいか」など、はっきりとした理想の自分像を持ちましょう。

数多くの企業情報を収集し、気になる企業をピックアップ

就職情報サイトや新聞、企業のホームページなどを見て、より多くの企業情報を収集し、興味が持てる企業をピックアップしていきましょう。ここでのポイントは、いきなり絞り込みすぎないこと。ついつい、聞いたことのある企業の情報だけを集めてしまいがちですが、それだけでは本当に自分に合う企業を見逃してしまうことになるかもしれません。最初のうちは、幅広く、多くの企業を知ることが大切です。

さまざまな情報を見比べる

自分が入社する可能性のある企業なので、将来の自分をイメージしながら、一つひとつの企業を徹底的に比較検討しましょう。事業内容や売り上げ、従業員数といったことだけでなく、企業が大切にしている考え方や募集要項、その企業の求める人物像、選考のステップなども確認しておくべきです。この作業にあせりは禁物。時間がかかると思いますが、じっくりと行うことで、自分に合った企業が見つかります。

企業を絞り込む

たくさんの企業を比較検討したら、志望企業を絞り込んでいきましょう。給与などの条件面だけでなく、さまざまな視点で絞り込んでいくのがポイントです。今まで聞いたことがなかった企業でも、魅力的だと感じられる企業は数多くあります。企業研究の段階でそのような企業を見落とさないようにして、次のステップ(エントリーやOB・OG訪問)に進みましょう。

企業を絞り込む視点(例)

●自分のやりたいことが実現できるか ●理念やビジョンに共感できるか
●得意分野や独自の強みがあるか ●研修は充実しているか など

志望企業決定への道

(1)心がまえ:イメージ重視からの卒業

テレビなどで見かける業界や企業のイメージにとらわれることなく、客観的に分析しましょう。

(2)心がまえ:やりたいことを明確に

3年後、5年後にどのような人間になっていたいかなど、将来像を明確にしましょう。

(3)企業研究:企業の情報を徹底収集

企業研究のカギは、徹底的な情報収集にあります。

(4)企業研究:情報を比較検討

一つひとつ企業を比較検討していきましょう。いくつかの切り口で比較するのがお勧めです。

(5)絞り込み:志望企業を絞り込む

自分が入社してからのことを想像しながら志望企業を決定し、次のステップに進んでいきましょう!

企業研究のチェックポイント

企業のこと
CHECK 事業内容
  • ●どのような事業を展開しているか
  • ●どのような商品・サービスを提供しているか
CHECK 売上高
  • ●1年間にどれくらいの売り上げがあるのか
  • ●(過去にさかのぼり)売上高は伸びているか
CHECK 従業員数
  • ●どれくらいの人が働いているか
  • ●男女比はどれくらいか
  • ●平均年齢はどれくらいか
CHECK 創業、設立
  • ●歴史のある会社か
  • ●グループ企業・連結企業はあるのか
  • ●合併・買収(M&A)が過去にあったか
企業の考え方や社風
CHECK 経営理念、ビジョン
  • ●大切にしている価値観はどのようなものか
  • ●何のために経営しているのか
  • ●どのような目標に向かっているのか
CHECK 社風
  • ●どのような社内制度や慣習があるか
  • ●どのような人柄の人が多いか
仕事の内容
CHECK 募集職種、仕事内容

職種名が同じでも、企業によって役割が異なることがあります。興味のある企業がどのような職種を募集しているのか、どのような仕事内容なのかを確認しましょう。詳しい仕事内容は、企業のホームページや入社案内などに掲載されています。

  • ●どのような職種を募集しているのか
  • ●自分が希望している職種があるか
  • ●仕事の内容はどのようなものか
  • ●やってみたいと思える仕事内容か
  • ●3年後、5年後の自分をイメージできるか
採用のこと、働く条件
CHECK 採用人数
  • ●どれくらいの規模で採用を行っているか
  • ●従業員数と比較して、極端に多くないか
CHECK 選考方法
  • ●選考はどのようなステップで行われるか
  • ●求める人物像はどのような人か
  • ●エントリーの開始時期はいつ頃か
CHECK 勤務時間、休日・休暇
  • ●勤務時間はどれくらいか
  • ●週の休みはどれくらいか
  • ●年間休日数はどれくらいか
  • ●どのような休暇制度があるか
CHECK 初任給、給与
  • ●初任給はどれくらいか
  • ●基本給はどれくらいか
  • ●賞与はどれくらいか
  • ●数年後の年収例はどれくらいか
  • ●手当(家族手当、住宅手当など)はどれくらいか
CHECK 福利厚生
  • ●福利厚生制度にはどのようなものがあるか
  • ●社会保険は完備されているか
  • ●社宅、社員寮はあるか
  • ●クラブ活動や社員旅行はあるか
CHECK 研修制度
  • ●どのような研修があるか
  • ●どれくらいの期間で実施されるか

よく見る用語の意味を知ろう

【1】フレックスタイム制

勤務時間を固定せず、自由に始業・終業時刻を決めることができる制度。あらかじめ1カ月間の総労働時間が定められているので、従業員はその時間さえ満たしていれば良いことになります。ただし一般的には、1日の中で勤務が義務づけられる所定の時間帯(=コアタイム)が設けられています。

【2】連結/単独(単体)

親会社と子会社・グループ会社をすべて含めた売上高や従業員数などを「連結」と言います。1つの会社を表すのが「単独(単体)」です。

【3】グループ募集・グループ採用

同じグループに属する複数の会社が、募集や採用をグループ単位で一括して行うこと。エントリー受付などの採用窓口が1つになり、選考段階でどの企業を志望するかを聞かれることが一般的です。

【4】OJT

On the Job Trainingの略称。実際の仕事を通じて、必要とされる知識や技術などを習得させる研修制度のこと。仕事から離れた一般的な研修とは違い、先輩や直属の上司が指導するため、習得スピードも速く効果的です。

【5】ジョブローテーション

社員の育成や能力開発を行うため、定期的・計画的な部署異動によってさまざまな業務を経験させること。ジョブローテーションを通じて社員一人ひとりに適した仕事を見極めることができるだけでなく、社員個人も幅広い視野を持って仕事に取り組むことができるようになります。

EDINETを活用しよう
URL:https://disclosure.edinet-fsa.go.jp

企業研究の一例として、金融庁のEDINETから上場企業の情報を調べる方法があります。EDINETは、「金融商品取引法に基づく有価証券報告書等の開示書類に関する電子開示システム」のことで、企業から提出された書類をインターネット上において閲覧できるサイトです。

有価証券報告書には、企業の概要や沿革、事業内容などの基本的な情報から、生産や受注及び販売の状況や企業の対処すべき課題、事業等のリスクといった情報まで掲載されています。

特定の企業名を指定して検索できるほか、志望する業種ごとに検索することも可能。企業研究に役立つ豊富な情報がそろっているので、ぜひEDINETを活用しましょう。