どのような職種があるのかを知ろう
業界研究と並行して、職種研究も進めていきましょう。「新卒者の3割が入社3年で離職する」と言われる今の時代。原因の1つは、「イメージしていた仕事と実際の内容が違っている」ことにあります。
世の中にはたくさんの職種があり、同じ職種でも企業によって内容が異なる場合もあります。「どのような仕事をしたいのか」「どのように成長していきたいのか」を明確にし、それを実現できる職種を見つけることが大切です。まずは、どのような職種があるのかを見てみましょう。
営業系・販売サービス系
営業は、商品やサービスを売る仕事。提案、見積もり、納品、アフターフォローなど全ての窓口になる。販売・サービスには、接客や店舗運営の仕事があり、一般消費者を始め取引業者などともやり取りする機会が多くなるため、交渉能力も重要なポイント。
法人営業 | 企業に対して、自社の製品やサービスなどを提案する。新規顧客を獲得する新規開拓営業の仕事と、既存顧客が中心のルート営業の仕事がある。 |
個人営業 | 一般消費者に対して、自社の製品やサービスなどを提案する。訪問販売や、ショールームなどでのセールスがこれにあたる。 |
セールスエンジニア | IT技術や機械製品などの専門知識が必要な製品・サービスを、技術的な視点で説明・提案する。 |
医療情報担当者(MR) | 製薬会社などの営業担当者として、医師や薬剤師に自社の医薬品に関する情報を提供する。 |
店舗販売 | 店舗スタッフとして、自社製品や商品を消費者に販売。店舗の在庫管理も担当する。 |
バイヤー | 商品の仕入れを担当。需要と供給のバランスに見合った物を仕入れ、効率よく売れる仕組みを提案する。 |
【その他の仕事】
[販売・サービス系]スーパーバイザー/キッチンスタッフ/ホールスタッフなど
事務系
財務・経理は金銭面の管理を、総務は事務の統括や企業運営のサポートを行う。事務の仕事は別の部署と関わることが多く、多方面にわたって気を配ることが重要。業務によっては、簿記や法律関係といった専門知識が必須になる。
財務・経理 | 資金の調達やお金の管理などを行う。経営状況を把握し、経営戦略のアドバイスをすることもある。 |
人事 | 社員の採用や、教育、業績評価、勤務状況管理、福利厚生などを担当する。 |
広報 | 自社製品・サービスの広告宣伝や企業の認知度アップ、企業活動についての報告・発表などを行う。 |
マーケティング | さまざまなデータの収集・分析やアンケートなどを行い、市場の動きや消費者のニーズを調査する。 |
企画 | 新しい製品やサービスを企画したり、販売の方法・戦略を立案する。 |
総務 | 職場環境の整備を担当。企業によりさまざまだが、事務用品の手配や管理をはじめ、社内ネットワークの管理などを担うケースもある。 |
一般事務 | 来客応対や電話の取り次ぎ、書類の管理・整理、備品の購入など、さまざまな庶務業務を担当する。 |
営業事務 | 売上の管理や営業用資料の作成、納品書・請求書の作成など、営業を支援するための事務を担当する。 |
【その他の仕事】
技術系
ハードウェア関連、ソフトウェア関連、機械・電気関連、建築・土木関連の職種などがある。日々進展する分野であるため、研究熱心であることが重要。
システムエンジニア(SE) | 顧客企業のニーズをヒアリングし、最適なシステムを設計・構築・提案する。 |
プログラマー | システムの設計書をもとに、プログラム言語を用いてさまざまなプログラムを作成する。 |
設計・技術者(機械・電気) | 製品開発における電子機器や機械の設計・開発を行う。クリエイティブな要素も強い。 |
品質管理・生産管理 | 製造過程でのトラブルを防ぐためのチェックを行ったり、生産ラインの稼働や人員計画などの管理を行う。 |
研究開発 | 研究を重ねて、生産を効率化するための技術や新製品などを開発する。 |
施工管理 | 建築工事や土木工事において、工事の計画、進行管理、現場の管理監督を行う。 |
【その他の仕事】
マスコミ・クリエイティブ系
広告、出版、映像、音楽、ファッションなど、多くのジャンルで活躍。商品のクオリティを高めるだけでなく、時代を読み取る感性や斬新な切り口など、オリジナリティが求められる仕事でもある。他のクリエイターとの連携も多く、調整能力も重要なポイントとなる。
編集 | 出版や広告業界で、企画立案からクリエイターの手配、予算管理までを行い、出版物・広告物の紙面を作る。 |
記者 | ニュースなどの情報を提供するため、さまざまな取材を行い、記事を書く。 |
コピーライター | 広告代理店や広告制作会社で、商品・サービス・企業の広告・宣伝用の文章を作成する。 |
番組制作スタッフ | テレビ番組やラジオ番組を制作するためのスタッフ(ディレクター、カメラマン、音声、照明、美術など)。 |
【その他の仕事】
専門職系
それぞれの業界内における専門的な知識・能力を活かす仕事。あらかじめ免許や資格の取得が必要とされている仕事や、入社後に研修や経験を積みながら能力を高めていく仕事など、さまざまなものがある。仕事によっては、経験を積んで独立することも可能である。
コンサルタント | クライアントが抱える課題を解決する方法を提案する。経営に関することやIT、人事など専門分野への細分化が進み、専門的なスキルが求められる。 |
証券アナリスト | 株式市場に限らず、個々の企業の状態や経済全般など、幅広く調査・分析を行う。 |
公認会計士 | 監査・会計・財務の専門家として、会計業務全般、経営コンサルティング業務などを担当する。公認会計士の資格が必要。 |
行政書士 | 行政機関に提出する申請書類などの作成・代行を行う。行政書士の資格が必要。 |
【その他の仕事】
キャリアビジョンから自分に合う職種を探す
職種のことが分かってきたら、自分に合う職種を探していきましょう。ポイントは、3年〜5年後にどのようになっていたいかという「キャリアビジョン」をイメージしておくことです。入社直後の自分だけではなく、「3年後にはこんなことがしたい」「5年後にはこういうポジションについていたい」という明確な目標を持ちましょう。
その上で、自己分析の結果を参考にしながら、どの職種であれば自分の力を発揮でき、夢や目標を実現できるかをしっかりと検討して、志望職種を見つけていきましょう。
- ●どのような仕事がしたいか
- ●自分の強みやこれまでの経験を活かすことができるか
- ●3年後、5年後のキャリアビジョンがイメージできるか
職種は業界によって異なる
業界によって、存在する職種は異なります。どのような仕事をしたいかは、志望業界と合わせて考えてみると良いでしょう。下の2点を意識して、研究を進めていきましょう。
- ●どの業界で働きたいのか(=業界研究)
- ●その業界で、どんな仕事がしたいのか(=職種研究)
「業界×職種」で、働く自分の姿が見える
「志望業界」と「志望職種」を同時に考えてみましょう。同じ法人営業でも、もちろん業界によって取引先は異なります。「自分がその業界に入った時、どのような企業が取引先になるのか?」「その業界内で、各職種はどのように関わっているのか?」などを理解すると、自分が企業に入って働く姿が見えてくるでしょう。下図のように、業界×職種の志望度を表にまとめておくと、企業を探しやすくなるのでお勧めです。
ある程度の自分の姿が見えてきたら、次は企業研究に入っていきます。ここで大切なのは、実際の仕事内容を正しく理解すること。同じ業界の同じ職種でも、企業によって内容が違うこともあります。また、社風や働く条件なども企業によって異なります。次ページからの「企業研究」を参考にして、志望企業を見つけていきましょう。
知っておきたい用語
総合職 | 将来は管理職としてその企業を支える役割を担うことが求められる存在。転居を伴う転勤・異動も考えられる。 |
地域(エリア)総合職 | 基本的に転居を伴う転勤・異動がなく、地域(エリア)が限定された総合職。総合職に比べ業務や昇給・昇格の範囲が狭められていることが多い。 |
一般職 | 一般的に仕事の範囲が総合職よりも狭く、事務的・定型的な仕事が多い。基本的には転居を伴う転勤・異動はない。事務職とも呼ばれる。 |
(※企業により名称が異なる場合があります)