どのような業界があるのかを知ろう
業界研究は、自分の方向性を探る第一歩。自分のやりたいことを見つけるためには、業界を把握しておく必要があります。ここでは大きく7つの業界に分けて、それぞれ業界の特徴と、取り扱っている品物・商品やサービスを紹介します。
メーカー
機械や自動車、衣料品など、製造するモノによってさまざまな業種に分けられる。身の回りにあるモノや、産業の発展に不可欠な素材などを生み出しているのもメーカーであり、技術革新に伴いさまざまな新商品が登場する。まさに「開発力」が求められる業界。
農林・水産・鉱業 | 野菜、果物、魚介類、地下資源 など |
建設 | 道路、ダム、商業ビルなど |
住宅 | 住宅建設、リフォームなど |
インテリア・エクステリア・ 建材 | 室内装飾品、室外装飾品、建築用材など |
設備関連 | 空調設備、電気設備、水道設備など |
食料品 | 製粉、製菓、食肉、加工品、飲料など |
繊維・服飾雑貨 | 天然繊維、合成繊維、衣料品など |
化学 | 石油化学製品、機能性化学製品など |
医療機器・医療関連 | 診療機器、治療機器など |
医薬・化粧品 | 医薬品、化粧品など |
窯業・セラミック・セメント | ガラス、陶器、セメントなど |
鉄鋼・非鉄金属 | 重金属、軽金属など |
金属製品 | 缶、鉄骨、アルミ建材など |
機械 | 工作機械、建設機械、農業機械など |
プラント・エンジニアリング | 工場設備、生産設備など |
総合電機 | 電化製品、電子デバイスなど |
重電・産業用電気機器 | 発電機、電動機、変圧器など |
コンピュータ・通信・ OA機器関連 | コンピュータ、パソコン、情報機器など |
家電・AV機器 | 家電、デジタル家電、AV機器など |
ゲーム・アミューズメント機器 | ゲーム機器、アミューズメント機器など |
半導体・電子・電気部品 | 半導体、電子部品、電気部品など |
自動車・輸送機器 | 車両、船舶、航空機など |
精密機器 | コピー機、デジタルカメラなど |
印刷関連 | 雑誌、ラベル、パッケージなど |
商社
国内外から仕入れたモノを、消費者や企業に販売するのが商社の主な仕事。国内だけにとどまらず、海外との取引も積極的に行われるグローバルなビジネスである。商社は大きく分けて、幅広い商品を扱う総合商社と、特定の商品のみを扱う専門商社に分かれる。
総合商社 | ラーメンから航空機まで、幅広い商品 |
専門商社(食料品) | 農産物、水産物、畜産物など |
専門商社(繊維・アパレル) | 天然繊維、合成繊維、衣料品など |
専門商社(化学・石油製品) | ガソリン、ジェット燃料など |
専門商社 (建材・エクステリア) | 建築用材、室外装飾品など |
専門商社 (医療機器・医療関連) | 診療機器、治療機器など |
専門商社(医薬・化粧品) | 医薬品、化粧品など |
専門商社(金属) | 重金属、軽金属、金属製品など |
専門商社(機械) | 工作機械、建設機械、農業機械など |
専門商社 (電気製品・電子・OA関連) | コンピュータ、半導体、情報機器など |
専門商社(輸送機器・自動車) | 車両、船舶、航空機など |
専門商社(インテリア) | 室内装飾品など |
金融
銀行や証券、生命保険など、お金を貸し付けたり株取引の仲介を務めたりして、企業や個人の資産を運用。お金を流通させることで社会に貢献するという役割が期待される。
銀行 | 預金、融資、為替など |
証券 | 株券、社債、国債など |
保険 | 生命保険、損害保険、医療保険など |
カード・リース | クレジットカード、償却資産など |
ソフトウェア・情報処理
コンピュータに機能を持たせたり新しいシステムを開発したりと、さまざまな生活場面で、ITが活用される現代社会になくてはならない存在。テクノロジーの進歩とともに今後ますますの発展が期待される。
ソフトウェア | システム、アプリケーションソフトなど |
インターネット関連 | コンテンツ企画など |
ゲームソフト | ゲーム開発など |
情報処理 | 情報システムなど |
百貨店・ストア・専門店
商品を効率的に仕入れて消費者に販売。自社の企画・開発によるプライベートブランド(PB)を強化するなど、時代に沿った営業形態や販売方法を模索し、常に新たな市場を開拓している。
百貨店 | 衣料品、化粧品、家具、食料品など |
スーパー・ストア | 食料品など |
コンビニエンスストア | 食料品、日用雑貨など |
専門店(ファッション・ 服飾関連・繊維製品) | 衣料品、雑貨など |
専門店(医薬・化粧品) | 医薬品、化粧品など |
専門店(自動車関連) | 自動車、オートバイなど |
専門店(家電・事務機器) | 家電製品、パソコンなど |
専門店(ホームセンター) | 日用品など |
通信・マスコミ
新聞やテレビ、インターネットなどに分類され、電波や印刷物といった伝達手段で、一般大衆にいち早く情報を伝える。スマートフォンやタブレット端末など情報コミュニケーションツールの多様化に合わせた新しいコンテンツも増えており、業界のビジネスモデルも変化してきている。
通信 | 電話、ネットワーク通信、光ファイバーなど |
放送 | テレビ、ラジオ放送など |
広告 | テレビCM、インターネット広告など |
出版・新聞 | 雑誌、単行本、新聞など |
サービス
電気・水道・ガスなどの生活に欠かせないインフラサービス、外食や旅行等の一般消費者の生活を豊かにするサービスや企業経営に関するさまざまな提案を行うコンサルティングなど、一口にサービスといってもその分類は多岐にわたる。
不動産 | 建物の分譲、賃貸、仲介など |
鉄道・航空 | 鉄道の運営、航空の運送など |
陸運・海運・倉庫 | 貨物の輸送など |
電気・水道・ガス・エネルギー | 電力、水、ガスの供給など |
建設コンサルタント | 建設に関するコンサルティング |
専門コンサルタント | 専門分野(人事、会計など)のコンサルティング |
シンクタンク・ マーケティング・調査 | 情報収集、分析、提案など |
設計 | 建築、機械などの設計 |
ビル管理・メンテナンス | ビルの管理、メンテナンスなど |
セキュリティ | セキュリティサービスなど |
人材サービス | 人材派遣、人材紹介、アウトソーシングなど |
ホテル・旅館 | ホテル・旅館での宿泊、飲食のサービスなど |
旅行・観光 | ツアー企画、販売など |
レジャー・アミューズメント | 映画館、遊園地、動物園の運営など |
スポーツ・ヘルス関連施設 | スポーツ施設、健康関連施設の運営など |
冠婚葬祭 | ブライダルサービス、式場の運営など |
レストラン・フード | 飲食店の運営など |
エステティック・理容・美容 | エステサロン、理容・美容施設の運営など |
医療・福祉・介護 | 医療・福祉・介護関連のサービスなど |
教育 | 塾の運営、教育関連の各種サービスなど |
興味・関心のあることから、業界をピックアップする
業界研究では「興味・関心のあること」から探っていくのが一般的です。各業界の特徴がある程度分かったら、次は自分がどの業界に行きたいかを考えてみましょう。
例えば、医療関係の仕事に興味があるとします。上の表を見ても分かる通り、医療関係の仕事はメーカー、商社、専門店、サービスと複数の業界に関連しています。このような場合、自分が医療とどのように関わっていきたいかを考えながら、業界をピックアップしていくことが大切です。
業界研究や企業研究を行う際、どうしても消費者向けの商品・サービスを提供するBtoC(Business to Consumer)の企業だけに目が行きがちです。しかし、企業向けの商品・サービスを展開するBtoB(Business to Business)の企業に目を向けると、知名度が低くてもその業界では世界レベルという企業はたくさんあります。
また、下のグラフを見て分かる通り、電子商取引の市場規模は圧倒的にBtoBの方が多い状況です。企業間取引を行うBtoB企業は、日本の経済を支える重要な役割を担っていると言えるでしょう。知名度やイメージにとらわれず、視野を広げて研究を行いましょう。
- ▼BtoB企業の探し方
- ・大学の就職先一覧
- ・大学にきた求人票
- ・企業情報に記載されている取引先企業
- ・業界・企業研究に関する書籍
4〜5つの業界を志望業界とするのがお勧め
業界研究を進めていくと、「自分にはこの業界しかない!」と、いきなり絞り込んでしまう人がいますが、これはあまりお勧めできません。業界を早くから1つに絞り込んだ結果、どの企業からも内定をもらうことができずに苦労するというケースもあります。業界研究はあくまで就職活動の初期段階。初めのうちは4〜5つの業界を志望業界としておくと良いでしょう。
また逆に、志望業界の幅が広すぎるのもあまり良くありません。広ければ広いほど、1つの業界に対する知識はどうしても浅くなってしまいます。そのため説得力のある志望動機や自己PRができず、採用担当者に「ちゃんと業界研究しているのかな」とマイナスの印象を与えてしまう可能性があります。狭すぎず、広すぎずがポイントです。
業界の現在だけでなく、過去や未来も調べる
業界をピックアップしたら、次はその業界をより深く知りましょう。その業界の過去・現在・未来を調べて、「これまでどのように発展してきたのか」「今後はどのようになっていくのか」といったことを確認しておくことがポイントです。新聞やインターネット、就職情報誌などを活用して、志望業界に関する知識を増やしていきましょう。
過去 | ●どのような歴史があるのか ●ここ5年〜10年くらいの市場規模の推移 |
現在 | ●市場の動向 ●存在する企業について、他業界からの参入の有無 |
未来 | ●5年〜10年の予測、展望 ●将来にわたっての課題・問題点 |
身近にある業界の情報源
業界研究では、複数のツールを使うようにしましょう。そうすることで、さまざまな角度から見た情報が手に入り、多角的な業界研究を行うことができます。
参考にするもの
●新聞 ●業界専門紙 ●就職情報サイト ●ビジネス雑誌 ●就職情報誌
●大学キャリアセンター(就職課) など
ある程度の知識が身についたら、自分の足で情報を稼ぐことも大切です。
●OB・OG訪問 ●会社訪問 ●インターンシップ など
※情報収集は業界だけでなく、職種や企業を研究する上でも大切志望業界がなかなか決まらない時は
業界研究を重ねてみても、なかなか志望業界が定まらない人もいるのではないでしょうか? 就職活動には決まった手順がある訳ではないので、下記のような方法も試してみましょう。
- ●大学のキャリアセンター(就職課)に相談する
- ●業界を限定せず、興味のある職種から探す
- ●さまざまな業界の会社説明会に参加する
- ●働きたい地域から企業を探す